早わらび(さわらび)
薯蕷製
まだ芽を出したばかりの蕨のことです。
「石走る垂水の上の早蕨の 萌え出づる春になりにけるかも」
万葉集の、志貴皇子の歌では、早春の喜びが詠まれています。
この、先端が丸まった早蕨形の意匠は、蕨手、蕨熨斗などよく使われます。
また、蕨の根茎から取れる澱粉=蕨粉で作ったわらび餅はよく知られています。
けれども一般的なわらび餅は、馬鈴薯澱粉や甘藷澱粉で作った「わらび餅もどき」ですし、
「本蕨粉使用」と謳っていても、他のゲル化剤などの混ぜ物を入れて、
硬くなりにくくしたり、冷凍保存が利くようにしたり、といった代物がほとんどです。
本物のわらび餅の、「腰の強さ・粘り・弾力」は、何物にも代え難いのですが、
残念ながら、これが世間全般の流れのようです。