蛍火
蛍火(ほたるび)
蕎麦薯蕷
次第に暗くなり始めた様子を、落ち着いた色にするため蕎麦薯蕷で、
水辺の草を、焼ゴテで入れた2本の線で、
その葉先で光を放つ蛍を、金箔で、
それぞれ表現しています。
非常にシンプルな中に、初夏の清流の風情を織り込みました。
「夕されば 蛍よりけに 燃ゆれども 光見ねばや 人のつれなき」
これは古今集にある紀友則の歌ですが、
蛍を、単なる夏の夜の観賞物というだけではなく、
激しく燃え立つ恋心の象徴として捉えています。
また一方、蛍を死者の霊魂とする伝説も、各地に多く残されています。
人というものは、暗がりに舞う光を見つめていると、
胸の内にある、色々なものを投影してしまうのかも知れません。

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