黄落
黄落(こうらく)
外郎
紅葉の代表が楓(カエデ)ならば、黄葉の代表は銀杏(公孫樹・イチョウ)です。
草木の葉や果実が、黄色く色づいて落ちることを黄落といい、
丸く型抜いた外郎を折りたたんで、黄葉・銀杏形に仕立てました。
今ではモミジといえば、楓類の別名であるように、紅葉を意味します。
しかし奈良時代には、黄葉が主流だったようで、
万葉集では、紅葉を詠んだものは6首だけなのに対し、黄葉の歌は76首あるそうです。
黄色を最高とする、唐の文化に影響を受けてのことでしょうか。
ただ当時、銀杏はまだ日本にはなく、室町時代あたりに伝来したとされていますので、
楓の一種や桂(カツラ)、榎(エノキ)などのことと思われます。
春の梅・桜も、秋の黄・紅葉も、華やかな色で私たちを楽しませてくれますが、
長い冬が終わり、萌え出る喜びの春に対し、
秋の風情は、落葉を前提とした寂しさのようなものを感じさせます。
厳しい冬の到来を前に、燃え尽きるように色づく木々に、
日本人は感銘を受けるのです。

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