藤棚(ふじだな)
村雨製
藤色と白色の村雨で、緑色の羊羹を挟みこみました。
藤棚であれば本来は、花を表す紫や白が、
葉を表す緑よりも下になければならないのですが、
直感的に藤の花を連想しやすいように、上面に印象的な色目をもってきました。
このような手法は、和菓子ではよく使われるもので、
例えば秋の紅葉の移り変わりを表現するために、
楓の葉を赤・黄・緑の三色に染め分ける、といったものです。
実際にはありえないのですが、日本人が持つ色彩感覚にストレートに働きかけ、
写実的表現に比べ、より多くの想いや事柄を訴えることができます。
これも和菓子の世界の奥深さの一つですね。