山吹
山吹(やまぶき)
煉切
山吹色と緑色の煉切でこし餡を巻き込み、抽象的な形に仕上げました。
しなやかな細い枝が風に揺れる様子が、山野に多く見られたことから、
山を振り動かす「山振(やまふり)」と古くは呼ばれたそうで、
それが「山吹」に転訛したといわれています。
日本原産の花だけあって、万葉集にも多く詠まれ、
この花にまつわる伝説も、多く語り継がれています。
その昔、別れる運命にあった相愛の男女が、
再会を誓ってお互いの面影を映した一対の鏡を土に埋め、
後にそこから生えたのが山吹だった、と伝えられています。
それでこの花は「面影草(おもかげぐさ)」とか、
「鏡草(かがみぐさ)」と呼ばれるようにもなりました。
ちなみに「鏡草」というのは、
ビャクレン・大根・豆蔦・浮き草・ガガイモ・朝顔・一薬草など、
多くの植物の異名ともなっています。

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