石竹
石竹(せきちく)
煉切
石竹は平安時代初期、中国から伝わったので、
別名「唐撫子(からなでしこ)」といいます。
これに対して、日本古来のものは「大和撫子(やまとなでしこ)」とも呼ばれ、
その可憐でしおらしい花姿から、
日本女性の清楚な美しさを称えていう言葉にもなっています。
石竹と撫子をお菓子で表現した場合、明確な差はあまりありません。
もし区別するとしても、石竹が微妙に色が濃いとか、
撫子は花弁の切れ込みを少しだけ深めにするなど、
いわば作り手による好みの違いや、誤差の範囲ともいえ、
あとは時季と菓名での区別化となります。
これは極端な例かもしれませんが、
和菓子、特に京菓子と呼ばれるものの姿形や意匠は、
提供時季・菓名・使うお茶道具などと同様、
込められた想いを推し量るヒントの一つに過ぎないのかもしれません。

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