恭春(きょうしゅん)
煉切製
「恭」という文字には、
うやうやしい、つつしむ、うやまう、という意味があります。
「恭春」という言葉は、なんとなく心に浮かんだ造語で、
恭しく、謹んで春を迎える心情を表し、
その心の情景を、抽象的にお菓子で表現してみました。
何色にも染まっていない真っ白な煉切の上に、
淡紅色、萌葱色、黄色と、春らしい三色を配し、
それぞれ、桜などの花、柳などの若葉、
そして菜の花や蝶を意味しています。
恭春という気持ちで、改めて辺りを見渡してみると、
自然界は、春を迎える喜び、新しい命を育む喜びに、
充ち満ちていることがよくわかると思います。
ひょっとしたらこのお菓子は、私たちの気持ちでだけはなく、
木々や草花、虫や鳥たちの心をも代弁しているのかもしれません。