富貴草
富貴草(ふうきぐさ)
煉切
富貴草とは牡丹の別称で、
当店では毎年必ず作っているお菓子の一つです。
牡丹の根皮には芍薬(しゃくやく)同様、薬効があり、
頭痛・腹痛・腰痛・関節痛・婦人病などに、
乾燥させて煎じたものが処方されています。
ヨーロッパでは牡丹を、芍薬と共にピオニーと呼び、
ギリシャ神話に登場する、神々の医師ペオンの名に由来しているそうです。
ゼウスの愛人レトが激しい陣痛に苦しんだ時、
ペオンは芍薬の根を使ってレトの苦痛を和らげ、
無事、アルテミスとアポロンの双子が生まれました。
ペオンの師・医神アスクレピオスは、
この医療の成功を妬み、ペオンを殺そうと企みます。
それを知ったレオはゼウスに頼み、
ペオンを芍薬の姿に変えて命を助けました。
以来、ヨーロッパでは芍薬をペオンの名にちなみ、
ピオニーと呼ぶようになり、
牡丹や芍薬の属名ペオニア(パエオニア)も、
このペオンからきているそうです。

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