おぼろ月
おぼろ月(おぼろづき)
道明寺
「おぼろ(朧)」というのは、
ぼうっとしてハッキリせず、ぼんやりとかすむさまをいいます。
春の夜空に浮かぶ、ほのかにかすんだ月をおぼろ月といい、
やわらかい光に照らされた地上のものは、
みな朦朧とした感じで目に映り、
特に桜がおぼろ月に照らされた姿は、
優雅で柔和、正に幽玄の美しさを放ちます。
新古今和歌集から大江千里(おおえのちさと)の歌を…。
「照りもせず 曇りもはてぬ 春の夜の
おぼろ月夜に しくものぞなき」
強く照るでもなく、かといって陰るでもない、
春のおぼろ月の夜に勝る景色はない、という意味です。
人工の灯りに邪魔される現代では、
当時のようなおぼろ月に照らされた美しい景色を、
もう見ることができないんでしょうか。

トップ > 和菓子歳時記 > 平成15年卯月 > おぼろ月