麦刈(むぎかり)
求肥製
米などと違い、麦が黄金色に熟するのは初夏の頃で、
この実りの時季を麦秋(ばくしゅう・むぎあき)といいます。
昔の人は、麦は立春から数えて120日目前後、
新暦でいうと大体6月2〜3日頃を目安に刈るもの、と教えました。
麦の刈り入れ時期は農家にとって大変忙しく、
ゆっくりと食べる暇のない昼食の代用や、休憩時のおやつとして、
餡入りのお餅をあぜ道などに腰掛けて食べたそうです。
このとき、代金を収穫したての新麦で支払ったことから、
このお餅を、麦代餅とか麦手餅と呼びました。
本来の麦手餅は大きく無骨な姿ですが、
素朴さは残しつつ洗練させたのが、このお菓子です。
この時季につくる麦を題材にしたお菓子は、
「へ」の字型にしたり、細長くすることが多く、
これは麦刈りの鎌を表したものです。
やわらかく練った求肥に
はったい粉をまぶし、
なんとも懐かしい味わいに仕上げました。