香魚
香魚(こうぎょ)
鮮羹
香魚というのは、川魚の王ともいわれる鮎の異名で、
身は勿論のこと、体表を覆っている粘膜に良い香りがあるため、
この名で呼ばれるようになりました。
また、寿命が普通は1年なので「年魚」、
鱗(うろこ)が極めて小さいので「細鱗魚」、
などと書いて、アユと読んだりもします。
ところで、中国で「鮎」と書くと、実は日本で言うナマズを指すそうで、
日本でこの文字がアユを意味するようになった経緯が、
日本書紀に記されています。
第14代仲哀(ちゅうあい)天皇の后(きさき)であり、
第15代応神(おうじん)天皇の母・神功(じんぐう)皇后は、
仲哀天皇の没後、朝鮮半島の新羅征圧に自ら出陣し、
そのとき立ち寄った肥前国松浦県玉島の里にある小河、
現在の佐賀県東松浦郡浜玉町の玉島川に、
その場で作った針と糸に飯粒をつけて垂らし、
もし魚が釣れれば勝ち、釣れなければ負けと、
遠征の勝敗を占ったそうです。
そのとき釣れたのがアユで、魚で占ったことから、
「占魚」と名付け、後に「鮎」1文字になったそうです。
このお菓子は、錦玉羊羹を2層にして淡雪製の鮎を1匹泳がせました。
川底に見立てて敷き詰めた芥子(ケシ)粒がプチプチと香ばしく、
小豆の風味とよく調和しています。

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