七変化
七変化(しちへんげ)
きんとん
紫陽花(あじさい)の数ある別名の一つに「七変化」があります。
これは、花色が必ずしも一定ではなく、
「バケバナ」「ユウレイバナ」とまで言われるほど、
また「移り気」「浮気」といった花言葉があてられるほど、
状況によって多様に変化するところからつけられました。
土壌のpH(ペーハー)、つまり酸性かアルカリ性かによって、
花の色が赤や青に変わることは良く知られていますが、
これは土壌中のアルミニウムの働きによるものだそうです。
本来、品種によって花色は遺伝的に決まっているのですが、
アルミニウムが土中に溶け出しやすい酸性土壌では、
根からアルミニウムが多く吸収されて青みが強くなり、
逆に溶け出しにくい中性やアルカリ性土壌では、
必然的に吸収が少なく赤みが強い、という仕組みです。
また、一つの花でも咲き始めてから枯れるまでに、
様々な色の変化が起こります。
一般に、咲き始めの色は葉緑素の働きにより薄い黄緑色ですが、
葉緑素の分解とともに、徐々に緑色が薄くなります。
と同時に、紫陽花の色素であるアントシアニンが合成され、
次第に赤みを帯びつつ、土壌の性質によって赤や青に咲き分かれます。
鮮やかな最盛期を過ぎると、花の組織に老廃物がたまってきて、
花自体の酸性度が強まり、段々と紫がかってきて、
最後には色あせて、くすんだような感じになります。
科学的に分析すると、お化けでも幽霊でもなくなってしまいますが、
そぼ降る雨が似合う幽玄の美しさに、変わりはありません。

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