栗名月
栗名月(くりめいげつ)
鮮羹
お月見といえば旧暦8月15日、中秋の名月が真っ先に思い浮かびますが、
後の月見(のちのつきみ)といって、旧暦9月13日にも月を賞します。
中国でも行われていた十五夜の観月に対して、
この十三夜の月見は日本固有の習俗だそうで、
満月に少し届かない微妙な形の月に情緒を見いだす感覚は、
侘(わび)や寂(さび)に通ずる日本人ならではの美意識なのでしょう。
十五夜が芋名月と呼ばれるのに対し、
十三夜は栗や枝豆を供えることから、
栗名月とか豆名月と呼ばれているのが、この菓名の由来。
十三夜の名月が池に映る姿を表したもので、
栗が真ん丸ではなく、ちょうど十三夜の月に似ています。
今年の十三夜は10月26日。
十五夜と十三夜の片方しか月見をしないことを、
「片見月」とか「片月見」といって忌むこともあるそうなので、
肌寒いでしょうが、晩秋の澄みわたる月光を愛でてみませんか?
ちなみに、このお菓子とは全く関係ありませんが、
「後の月」と書いて「あとのつき」と読むと「前の月、先月、前月」、
「のちのつき」と読むと「次の月、来月、翌月」を意味するそうです。
日本語って難しいですね。

トップ > 和菓子歳時記 > 平成16年神無月 > 栗名月