若桜
若桜(わかざくら)
煉切
桜の若木のことを若桜といいます。
このお菓子は、桜に近付いて花一輪をクローズアップしていますが、
今月のお菓子の中でも、一枝は少し離れて枝を、
春霞は更に離れて桜の木、そして山全体を表しています。
このように同じ桜を捉えても、視点や見る角度を変えることによって、
またその状況によって、様々な表現の仕方があります。
例えば、咲き初め→満開→散り初めといった時期は勿論、
朝露に濡れているのか、日の光をいっぱいに浴びているのか、
夕焼けに染まっているのか、闇夜に浮かぶ幽玄な姿なのか、
風が強いのか、雨にうたれているのか、
更には、地元なのか、旅先なのか、
実際に見ているのか、思い出しているのか、
喜んでいるのか、悲しんでいるのか、
あらゆる要素を、一つのお菓子に込めることができます。
つまり逆に言えば、それだけ繊細な表現が求められるということです。

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