面影草
面影草(おもかげぐさ)
鮮羹
面影草とは山吹の別名で、
白小豆羊羹を山吹色に染め、抹茶羊羹ではさみました。
その名の由来は平成14年の解説をご覧いただくとして、
山吹にまつわる別の有名なお話を一つ…。

江戸城を築いた室町時代の武将・太田道灌(おおたどうかん)が狩りに出かけ、
突然のにわか雨に遭いました。
近くの農家に駆け込み、蓑(みの)を借りようとしましたが、
出てきた若い娘は黙って山吹の花を一枝差し出しただけ。
訳がわからず怒って帰った道灌ですが、近臣に真相を聞かされます。
「七重八重 花は咲けども山吹の 実の一つだになきぞ悲しき」
(山吹はたくさん花を咲かせるが、実を一つもつけないのが悲しい)
という「後拾遺集」にある兼明親王作の古歌を引用し、
「蓑(実の)一つ」さえない貧しさを訴えたのだと。
道灌は自らの無知に気付き、無学を恥じ、
以来、歌道に精進して歌人としても大成しました。

実は少女ではなく老女だったとか、
話の舞台となる山吹の里が何故かアッチコッチにあるとか、
幼い頃から神童と呼ばれた道灌がこの和歌を知らないはずがないとか、
この逸話自体が後世の作り話であるとか、
まぁこういった話に付き物の諸説はありますが、
現状に慢心せず向学心を持つ、という姿勢は学ぶべきですね。
ちなみに八重咲きの品種と違い、
花弁が5枚の一重咲きの山吹は結実するそうです。

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